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香港におけるオフショア所得の主張:適格要件と証明方法

香港におけるオフショア所得の主張:適格要件と証明方法

📋 ポイント早見

  • 源泉地主義: 香港は香港源泉の所得のみ課税します。オフショア所得(非課税所得)の立証責任は納税者にあります。
  • リスク: オフショア所得の主張が認められない場合、事業所得税(法人:最初の200万香港ドルは8.25%、超過分は16.5%)が課されます。
  • 証拠が全て: 税務局(IRD)は、利益がどこで生じたかを証明するための詳細かつ同時期の証拠を要求します。
  • 変化する環境: 国際的な税務透明性の向上(BEPS、FSIE制度)により、経済的実質に対する審査は厳しくなっています。

あなたの香港会社の最も価値ある資産が、オフィスやスタッフではなく、「提出できない一枚の書類」だったとしたらどうでしょうか?香港の源泉地主義税制を活用する事業者にとって、所得が香港の「外」で生じていることを証明する能力は極めて重要です。しかし、「オフショア所得」の主張は、香港の税務コンプライアンスにおいて最も複雑でリスクの高い分野の一つです。証拠書類や事業実態に関する一つの見落としが、合法的な税務ポジションを一夜にして数百万香港ドルの納税義務に変えてしまう可能性があります。本ガイドでは、何がオフショア所得として認められるのか、そして税務局に対して揺るぎない主張を構築する方法を解説します。

基本原則:香港の源泉地主義税制

香港は、税務条例(Inland Revenue Ordinance, IRO)第14条に基づく厳格な源泉地主義に則って課税を行います。これは、香港で生じる、または香港から生ずる利益のみが事業所得税の課税対象となることを意味します。原則はシンプルですが、その適用は決して単純ではありません。オフショア活動の自動的な免税や「ホワイトリスト」は存在しません。代わりに、税務局は利益の地理的源泉を判断するために、厳格で多角的な「事業活動テスト」を適用します。納税者は、自らの利益がオフショア源泉であることを証拠をもって証明する完全な法的責任を負います。

⚠️ 重要な区別: 「オフショア所得の主張」は、申請する免税制度ではありません。これは、確定申告書において、特定の利益が香港外で源泉を得ているため課税対象外であるという立場を取ることです。税務局が調査を行った場合、この立場を証拠をもって擁護する準備が必要です。

何がオフショア所得と認められるのか?税務局の判断基準

税務局の公式なガイダンスは、部門解釈及び実施要領第21号(DIPN 21)に記載されています。この判断基準は、事業の性質(貿易、サービス提供、製造)によって大きく異なります。重要なのは、取引の法的形式だけでなく、利益を生み出す事業活動の全体像を検討することです。

貿易事業の場合:契約締結地テスト

商品の売買を行う企業の場合、税務局は、売買契約がどこで交渉され、締結されたかに焦点を当てます。これが最も決定的な要因となることが多いです。その他の事業活動も全体像を判断するために考慮されます。

主要な事業活動要因 香港源泉(課税対象)を示す場合 オフショア源泉(非課税)を示す場合
契約交渉・締結 香港のスタッフまたは取締役によって行われる。 海外の従業員または代理人によって完全に処理される。
商品調達・仕入れ 香港から購入、または香港に保管される。 第三国から顧客へ直接出荷される(クロストレード)。
リスクと所有権 香港法人が在庫、信用、為替リスクを負担する。 商品の所有権は香港外で移転し、リスクは海外で負担される。
注文処理・管理業務 香港オフィスから注文の受諾、請求書発行、管理が行われる。 これらの機能が自動化されているか、海外の関連会社によって行われる。
📊 具体例: 香港会社がベトナムから繊維を調達し、ドイツの顧客に販売する場合。香港のスタッフがドイツの買い手と販売契約を交渉した場合、その利益は香港源泉とみなされる可能性が高いです。しかし、ドイツの販売代理店が注文を獲得し、商品がベトナムからドイツへ直接出荷された場合、その貿易利益はオフショア所得として認められる可能性があります。

サービス事業の場合:サービス提供地テスト

コンサルティング、IT企業、金融アドバイザーなどの場合、利益の源泉は一般的にサービスが提供された場所です。顧客の所在地や支払いの場所は関係ありません。CIR v Hang Seng Bank Ltd などの判例で確立されているように、実質的な作業が香港で行われている場合、サービス契約を人為的に分割して利益をオフショアに配分することはできません。

💡 専門家のヒント: ハイブリッドワーク(リモートと出社の併用)の環境では、綿密な時間記録が不可欠です。香港を拠点とするチームが海外の顧客にリモートでサービスを提供している場合、その作業が物理的に香港から行われたことを証明する記録が必要です。それでも税務局はその所得を香港で課税対象とみなす可能性があります。

オフショア状態を証明する:反論できない証拠書類の構築

税務局がオフショア所得の主張に異議を唱える場合、彼らは同時期の証拠、つまり監査のために後から作成されたものではなく、通常の事業過程で作成された文書を要求します。あなたの目標は、事業の実態と一致する首尾一貫した物語を証拠で構築することです。

必須の証拠チェックリスト

  1. 契約書類: 当事者と準拠法を示す署名済みの売買契約書。香港外からの出荷と香港外への配送を証明する船荷証券(B/L)または航空貨物運送状。
  2. 通信記録: 交渉と意思決定がどこで行われたかを示す、メール、議事録、通話記録(IPアドレス/所在地を示すヘッダー付き)。
  3. 組織の証明: 詳細な組織図。海外スタッフの雇用契約書と給与記録。取締役の出張日程表。
  4. 財務・銀行記録: 請求書、支払指示書、可能であれば資金の流れが香港以外の口座を通じていることを示す銀行取引明細書。
  5. 第三者による裏付け: 海外のサプライヤー、顧客、または代理人からの、あなたの海外事業の役割を確認する書簡。
⚠️ よくある落とし穴: 多くの主張は、証拠の矛盾によって失敗します。例えば、すべての契約は海外で署名されたと主張しながら、メール記録には香港のマネージングディレクターが最終的な価格承認を行っていることが示されている場合などです。税務局の監査官は、このような矛盾点を見つける訓練を受けています。

現代の課題:デジタル化と透明性が高まる世界における「実質」

オフショア所得主張を取り巻く環境は厳しくなっています。香港が導入した外国源泉所得免税(FSIE)制度(2023年1月より段階的施行)および迫り来るグローバル最低税(第2の柱)(2025年1月1日施行予定)は、経済的実質に基づいて課税するという世界的な潮流を示しています。税務局は現在、実質的な活動を欠く構造に異議を唱えるためのより多くの手段とデータを持っています。

彼らは、あなたのオフショア所得主張を他の申告書と照合することができます:商業登記は大規模なオフィスを示していますか?給与所得税の申告書は、香港に高給の役員がいることを示していますか?申告された活動レベルは、オフショアと主張する利益の規模と一致していますか?矛盾点は危険信号となります。

📊 事例研究:フィンテックスタートアップ 香港に設立されたブロックチェーン企業が日本とオーストラリアの顧客にサービスを提供し、開発者はバリでリモートワークをしていると主張しました。税務局はオフショア主張を否認しました。その理由は、(1) CTOが香港から毎週戦略会議を開催していた、(2) 顧客契約は香港法に準拠していた、(3) 収益の大半が香港の銀行口座に入金されていた、という点でした。教訓:スタッフの地理的分散だけでは不十分であり、利益を生み出す意思決定と事業活動が香港外で行われていることを体系的に証明する必要があります。

まとめ

  • 税務を考慮した事業設計: 事業のワークフローと意思決定経路を、最初からオフショア所得主張を念頭に置いて構築します。
  • リアルタイムでの文書化: 利益を生み出す主要な活動がどこで発生したかについて、綿密で同時期の記録を維持します。
  • 実態と構造の整合: 香港法人の物理的存在、スタッフの役割、リスクプロファイルが、オフショア利益という主張を裏付けるようにします。
  • 早期の専門家への相談: 複雑性とリスクの高さから、主張を申告する前に資格のある税務アドバイザーに相談することが不可欠です。
  • 審査への備え: 税務局があなたの主張を審査するものと想定し、証拠書類が明確で一貫性があり、信頼性のある物語を語れるように準備します。

香港でオフショア税務ステータスの主張に成功するためには、抜け穴を見つけることよりも、事業の実態を厳密に実証することに重点を置く必要があります。税務透明性が高まっている現代において成功する企業は、事業設計と税務コンプライアンスを表裏一体のものとして扱う企業です。最終的に自問すべき質問はこれです:もしあなたの香港会社が明日事業を停止したら、顧客の体験は変わりますか?答えが「いいえ」であれば、あなたのオフショア所得主張はすでに不安定な土台の上にあるかもしれません。

📚 参考資料

本記事の内容は、香港政府の公式資料および信頼できる情報源に基づいて作成されています:

最終更新:2024年12月 | 本記事の情報は一般的な参考情報であり、具体的な問題については資格を持つ税務専門家にご相談ください。

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著者

Jennifer Lee, LLM

tax.hk 税務コンテンツスペシャリスト

Jennifer Lee is a tax attorney specializing in Hong Kong tax law and policy. She holds an LLM in Taxation from the Chinese University of Hong Kong and regularly contributes to academic journals on tax legislation developments.

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